ウォールストリートってどこだかよく知らないけど路上は大変です


テレビを見ていると、「100年に一度あるかないかの規模の信用市場大波乱」だのなんだのでグリーンスパンという老人が持論の欠陥を認めていて、リヰマン兄弟商会とかいう会社の社員が、自分の荷物まとめたダンボール抱えて青い顔して、なんだかすごく立派なビルから出てくる。この「世界同時金融不安」そして「大恐慌」は世界史上の一大事であって、この洪水に呑まれない人はいない。世界は変わるらしい。でも、洪水なら高いところに住んでる人は助かるんじゃないかな? 一方、地べたを這うように生きていた人には容赦なく襲いかかる。

金属相場の下落にともなって、アルミ缶の買取価格が急激に下落しました。私は川崎市民なので知ってる川崎のことを書きますが、つい先月まで190円/kgだったものが、昨日今日では90円/kgになっています*1。キロ単価が半分以下になってしまったわけですが、これはつまり、アルミ缶集めで食いつないでいた人の収入が半分以下になったということを意味します。野宿者でも比較的高齢の人は、日雇いの仕事*2を得る機会もほとんどなくなるため、アルミ缶集めでなんとか食を得ている人が多いです。私が出会った人の証言を平均すると、夜通し歩いて缶を拾って1000円いくかいかないか(以前の相場で)。月収では2万から3万で生活していたわけです。それが、ここ数日の間にまるっきり半分以下になってしまった。月収2万が1万以下になってしまった。ウォールストリートでエリート金融屋が顔面蒼白になって約一ヶ月、麻生太郎という清潔でディスクリート*3なお方がホテルのバァで銀のスプーンをぺろぺろしゃぶってる間に、川崎の路上でギリギリの自助努力でなんとか食べていた人の収入は半分になっちゃいました。大津波は早速やってきたわけです。一番弱い者のところに。

別に麻生がなんかしなかったのが悪いとか言いたいわけじゃないですよ。「グローバル金融資本主義って怖いなあ」なんてことは誰でも言えます。しかし「これは大災厄だから責任の問題ではない。今は全力で経済の安定を(ry」などとは言えないんじゃないでしょうか。アメリカ追従第一で諸制度も改め、終いには総理大臣が大統領の前でプレスリーのモノマネまでした阿呆な政権に「こんなときだからこそ頼む」って、それはどうかしてます。「正論*4」とか全く理解できません。私は責任を問いたい。「戦後最長の好景気」と言いながら社会保障費を削ってきたのはなんだったのか? 野宿者(最貧困者)は「戦後最長の好景気」とやらの恩恵になど与ってはいないし、野宿者に限らず自殺者は増加を続けていたじゃないか。その責任はないのか。

年末にかけて製造業を中心に、派遣従業員の多くが職を失うはず。まさにこういうときに「捨てられる」労働力として、規制緩和までして動員されていたのが「派遣さん」だから。路上は絶望感で賑わって、また人が死ぬ。本当に暗い時代がやってくると思います。


そして付け加えておくと、不快感至上主義者がどんなに嫌がったところで、公共施設に野宿者はやってくるでしょう。もうリソースだなんだという議論は全然手遅れであって、ただ各人が確認すべき原則があるだけです。つまり、街にあふれイヤでも視界に入る最貧困者たちを、「余計者」として殺すのか、それとも人間として愛するのか。中間はないです。

私は、暗い時代における希望は「反抗」だと思っています。「反抗」のみなもとは何か? それは、有り体に言えば「思いやり」です。本当に人間を思いやり、弱い者や「余計者」を同じ人間として愛するからこそ「怒る」ことができるのではないでしょうか?

*1:川崎はアルミ缶相場は高い方。東京都内は65円/kgくらいにまで下落してるという話も聞きました。

*2:工事現場等の肉体労働が多い

*3:ディスクリート」ってなに>

*4:http://b.hatena.ne.jp/entry/http://ameblo.jp/dewisukarno/entry-10157186048.html