朝鮮学校の完全排除を意図した「高校無償化」施行規則改定にパブリックコメントを送りました


安倍政権がいろいろ話題ですが、早くも、いわゆる「高校無償化」政策から朝鮮学校を完全に排除する動きを見せています。朝鮮学校は無償化政策の施行規則の(ハ)に該当するものと一度は判断され、その後無理やりに適用保留とされてその状態が続いてるわけですが、今回その(ハ)をなくしちゃおうということです。この(ハ)を取ることについて文科省パブリックコメントを募集していますので、私も書いて送りました。


1/26(土)までで、下記のサイトから送ることができます。

公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント意見公募手続)について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000617


私が書いたものは以下です。参考になれば。

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施行規則(ハ)の削除に反対します。

施行規則の一部改定が、かねてより適用保留となっている朝鮮学校を、このいわゆる「高校無償化」政策から完全に排除することを目的としていると推察されるからです。

いわゆる「高校無償化」政策そのものは、国際人権規約の留保を解除しうる動きとして、教育行政を世界の標準的な水準に近づけるものとして評価できますし、また実質的には無償化ではなく支援金の支給といえども、「一条校」ではない従来非正規的な扱いであった学校も対象としていたことは画期的なことでした。

しかし、その中で一度は(ハ)の該当を決定していた朝鮮学校を強引に適用除外とし、以来ずっと保留としてきたのは極めて不当でした。保留決定とその継続の理由として、砲撃事件だとか拉致問題がどうだとか都度示されてはいますが、単に朝鮮民主主義人民共和国への経済制裁等の敵対政策の一環として、日本国内の朝鮮につながりを持つ人々に対し攻撃的意図をもって差別政策を打ち出していると理解するほかありません。

もう3年にもなろうかという期間続いた適用保留措置によりそうした意図は示され続け、その影響により自治体からの補助金も停止する動きも出てきています。例えばこの補助金にしても、朝鮮学校が日本の地で関係者の努力により継続してきたことやそれに伴う権利運動の成果として獲得されたものであり、それは朝鮮と日本の交流の歴史のみならず、民族や教育に関わる普遍的な権利の実現という観点においても(まるで十分でないとはいえ)重大な意義を持つものであったはずです。仮に安倍新政権がどのような「国のかたち」を議論するにせよ、現代での最低限の価値観を共有するならば、無償化政策からの排除や補助金廃止などは、後退と評価せざるを得ない愚行です。

日本がかつて行ったアジア太平洋地域での植民地化や侵略、そこでの虐殺や性暴力、また日本国内や植民地での白色テロなど、真相を究明し見つめ直していかなければならない課題は数多くあります。最近はこうしたことを「なかったこと」とする動きが目立ちますが、証言者や真相究明の努力に対し侮辱的に対応したところで歴史的汚点をさらに追加するだけでしょう。戦後も在日朝鮮人などへの抑圧は続き、今回の制度的後退もそれに連なるものになります。

ここで(ハ)の項を除外することは、教育の権利とかそういったイシューにとどまらない、現代で共有され憲法にもうたわれている理念からの決定的な逆行であり、到底賛成できません。

朝鮮学校へは即時に無償化制度(支援金の支給)を適用し、この3年弱の間での卒業生についてもさかのぼっての補償がなされるべきと考えます。

以上

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