マタイ受難曲(明治学院大学チャペル)


明治学院大学のチャペルで「マタイ受難曲」の演奏会があったから行ってきたよ!

チャペルでやるからきちんとした舞台があるわけでもなく、オケは少人数の最低限の編成で、それに比べると合唱団は人数多く感じた。
開演時間ギリギリに着いたから、舞台脇みたいな席になって、オーボエが目の前だった。新鮮。


開演前に指揮者(樋口隆一)がちょっと喋った。
今年の3月21日はバッハの誕生日と聖金曜日が重なってて、まさに「マタイ」を演奏するにはうってつけとのこと。へーそうなんだー。


それで導入合唱からはじまったわけだが、この曲には通常ボーイソプラノがやるパート(ソプラノ・イン・リピエノ)があるんだけど、児童合唱団の代わりに、明治学院高等部合唱団の女の子たちが15人くらい並んでた。
内心、shit!女子高生にボーイソプラノの清澄な声色が出せるかよ! と思ってたんだけど、全然アリだった! すごく良かった! 女子高生だからって偏見持っちゃいけないよねw
児童合唱パートはあと第1部最後の合唱にも出番あるんだけど、そこも良かった!
女子高生に限らず合唱団も良かったし、ソリストもまた良い。


マタイ受難曲」ってアルトのアリアが圧倒的においしいんだけど、メゾソプラノの人(永島陽子)がちゃんと歌い慣れてる感じで素晴らしかった。そして特記すべきなのはテノールの高野二郎。
日本人のテノール歌手としてそこまで有名じゃないと思うんだけど、以前なんかのコンサートに出ててすごく気に入り、ソロCDを入手したらそれがまた名盤だったこともあり、実はこの人が出るというのが聴きに行く動機の一つだった。


福音史家じゃない方のテノールだから出番少ないんだけど、とても良かった。基本的にケレン味のないきれいな声なんだけど、この人ならではの魅力があるというか、なんか伝えづらいんだけど。
この人のCDは変わってて、普通の声楽曲じゃなくミュージカルとかポップスも入ってて、ミュージカル「モーツァルト!」の「僕こそ音楽」と「ジーザスクライストスーパースター」の「ゲッセマネの祈り」が収録されてるんだがこの二曲が良すぎる!


あと全体の印象としては、抜粋でやるような有名曲(第39曲のアリアとか)の演奏が素晴らしい割に、なんか微妙に演奏がズレてる感じのもあった。特にオーボエ・ダ・カッチャっていう古楽器が微妙に感じたり……。舞台の脇から聴いてるから変な風に聞こえたのかもしれないけど……。


途中一部と二部の間の休憩に、牧師さんの説教があった。
バッハ当時に聖金曜日にマタイを演奏するときのスタイルらしい。
面白い趣向だけど、牧師さんの話がなんかイマイチ共感できず。ユダの裏切りと、恋人との別れを重ね合わせつつ、「ラビよ安かれ」と「別れてもあなたのことが好きです」みたいな言葉の共通性についての話だったんだけど、そもそも「別れてもあなたのことが好きです」っていうシチュエーションがよく理解できないので話について行けなかったw


というわけで、「マタイ」全曲(200分くらい)をチャペルの座り心地の悪い長椅子で聴くのは辛いと思ってたけど、好きな曲だけに気にならず楽しめた。今後も「マタイ受難曲」を生で聴ける機会があったらなるべく行こう……。