穢れてない日の丸なんてないのに(外国人排斥を許さない6・13緊急行動)【追記あり】


※携帯電話で更新した関係か、エントリが途中で切れていたので、そこのところ追記するとともに、脚注も追加しました。


外国人排斥を許さない6・13緊急行動
http://613action.blog85.fc2.com/

昨日、これ↑に参加してきました! 参加した人からの報告もすでにありますね。


外国人排斥を許さない6・13緊急行動に参加してきました - こころ世代のテンノーゲーム
http://d.hatena.ne.jp/umeten/20090613/p1

在特会許すな!ファシスト倒せー、おー!」 - はにかみ草
http://blog.goo.ne.jp/hanxiucao/e/fcae41aa017fa16ad78451234762d301


用事があって9日の火曜日から京都に滞在してて、予定では12日に帰るつもりだったんですが、せっかくなのでもう一泊して13日の緊急行動に参加してから帰ることにしたのでした。

11時半頃に三条京阪駅から地上に出ると、川原に集合してる集団が見えました。ああ、あれだなってすぐわかりました。橋の上から眺めてる人たちも大勢いて、そういう人たちの間を縫いつつすこし急ぎ足で橋を渡ってたら、(上にも挙げた)「はにかみ草」のぅきき(id:hanxiucao)さんが年配の男の人と会話しながら歩いてるのが見えました。私はてっきり、仲間と一緒に来たのかと思ったんですが、「外国人なんて悪いこといっぱいしてるじゃねーか!」「なんでそうやって決めつけるんですか!」*1なんて会話が漏れ聞こえてきたので、会話しながら歩いてたんじゃなくて、論争しながら歩いてたみたいです。集合場所に着く寸前からギャラリーと論争してるぅききさんすごいとか思いました。


川原ではid:umetenさんやid:nopikoさんとも無事合流できました。nopikoさんトラメガ持参だったので「うひょー借りたい!」と思ってテンション上がりました。umetenさんも書いてますが、ヘタリア横断幕はちょっと……と思いましたねー。こうやってヘタリアに反応してしまうのは「はてな脳」なのかもしれないですけど。でもでかい布地にすごく上手に描いてあってすごいと思いました*2。あと、ぅききさんも書いてますが、日章旗を持ってる人がいました。私は一瞬、在特会の隊列が近づいてきたら燃やしてみせるために用意したのかな? なんて思ったんですけど、その人はプラカードも用意していて、そこには「日の丸を穢すな」と書いてあったので、火をつけるために用意したわけじゃないってことはすぐにわかりました。お話ししたいとは思ったんですが、結局最後までその人とコミュニケーションを取らなかったので真意はわかりません。同じ行動に参加して同じ場所にいたのにその場で話さないで、後日こうやってブログで言及するのもなんか良くない気はするものの、「日の丸を穢すな」という主張にはやはり違和感があります。この点については後述します。


川原でシュプレヒコールなどした後に出発しました、道中トラメガを借りて「ゼノフォビアきもーい」など沿道に主張したりしてゆっくり歩きました。「日の丸を穢すな」に対抗して「日の丸を穢すぞー」「日の丸はunkoだー」と言っている人に賛同して声を合わせるなどしつつ。手作り感のある、というより実際に手作りの横断幕とプラカードで、それぞれ好き勝手な主張をしているような感じでした。詰めて話し合えば意見が違う人も多かったと想像するし、まあそういうものなんだろうなーって。蕨市在特会がしたことへ怒りを覚えたり、排外主義が高まっていくことに危機感を募らせた人が集まったというだけなんだと思います。例えば、「みんななかよく」という主張をプラカードでみかけましたが、私としては微妙な感じ……。何も「なかよく」しなくたって共存共生できると思うし。まあいろんな人がそれぞれ別の立場でも、根本で同じ思いを共有してひとまず集まれたんだから、それは全然悪いことじゃないと思います。


デモ行進は一時間くらい(?)*3で終わって、三条の川原に戻ってきてダラダラしました。というのも、今回の行動はデモ行進だけで終わりではなく、在特会のデモ行進(14:30〜)に合わせて情宣・ビラ撒きを予定していたからです。ビラ撒きとかするにしても、せっかくだから在特会接触しちゃいそうな地点が一番おもしろいよね、ってことで阪急前に行く一群に混ざることにしました。またしてもプラカードやトラメガを持って行ったんですが、今度はデモ行進じゃないのにプラカードとかトラメガとか持ってたら不当逮捕の口実になるのでわ? とか余計な心配を密かにしてました。結果としては杞憂に終わりましたけど、「プラカードは武器になりうる」とかいう口実で逮捕された事例があったので……。阪急前にいたら年配の男性に声をかけられました。曰く、「日本人にファシストなんていないよ。アメリカがそんなこと言ってるだけだろう。それに、今は日本人の若い人でさえいっぱい自殺してる。外国人なんて受け入れてる余裕なんてないじゃないか。」こんな内容でした。認識が私と全然違うので会話するのも面倒に思えたけど、ぅききさんみたくちゃんと言うこと言うべきだ! と思い直して、私も思ったこと手短に言いました。「そうやって外国人を追い出すことを当然のように思ったりする、奪い合うような息苦しい世の中だから若い人が自殺しちゃうんじゃないですか?」って。その人はすぐいなくなっちゃったけど。


在特会のデモ隊が近づくにつれ警官の人数も増え、待機してたメガホン搭載車両が移動させられたりしました。在特会接触しちゃいそうな地点に来たつもりが実際はそうでもないポイント*4にいてしまったみたいで、残念でした。よく見えなかった。でもプラカードなどはいくつか見えました。「売春婦」とか書いてるのがが見えたような……。激しい怒りを感じました。阪急前に出発する際、実行委員の人から「在特会が近づいてきたら頭に来たりもするでしょうが、みんながみんなそっちに行っちゃうんじゃなくて、道行く人にビラを配ったりなどのアピールは冷静に続けてください」みたく言い含められていたにもかかわらず、結局ほとんど全員が在特会の隊列に向けて「差別やめろー」「在特会帰れー」的なことを叫んでいました。みんな本心からむかついたんだから仕方ないです。おそらく、道行く人にとっては異様な見せ物だったと思います。大量の警官やバスみたいな警察車両にガードされながら、日章旗を掲げた集団が歩いてくる。横断幕には「在日特権を許さない市民の会」みたいなことが書いてある。四条河原町の交差点の四つ角にはそれに抗議する集団が大勢いてなんだかわめきちらしている。なんなのこれー、と感じた人多かったと思いますけど、「なんなのこれー」でも感じてもらえればいいということにしたいです。外国人を差別する人がいて、それに抗議する人もいる、っていうことだけでも知ってくれれば。



そんなわけでこの「緊急行動」自体は終わったんですが、その後いろんな人と話してる中で気づくことも多かったです。


在特会はまず市役所前に集合したそうなんですが、その市役所前で在特会の差別的な発言やプラカードを見て、ショックのあまり涙を流してる在日の人もいたそうです。私は在特会への怒りを共有し、趣旨に賛同して今回の行動に参加しました。「労働者に国境はない」「連帯するぞ」とは言いますがしかし、在特会の差別発言に直に傷つく立場の人と本当に連帯できていたのかは疑問です。全く無駄なことをしたとかそういう意味では全然ないんですが、日本人であるという「特権」を背景にしていたからこそ幾分かの「余裕」をもってこうした行動に参加できた。という意識が必要だと思いました*5。それに、在特会というのはただの「現れ」にすぎません。あんなことを往来に出て公然と主張するような集団が出てきてしまったこと自体がある種後退であって、なんで今さらあんな連中の相手をしなきゃいけないのか、ということ自体が悔しいことでもあります。在特会の隊列には、昔からいる保守勢力のお金持ちと、京都外から参加した若い人たちの両方がいたそうです*6。私の知人にも、在特会までいかなくてもネトウヨ的な主張に心情的に賛同してそうな人はいます。彼らは彼らなりに「生きづらさ」を感じていて、自分や仲間たちが不当ないきさつから困難な立場におかれていると思ってる。自分の生が軽んじられてるみたいな不満を抱いている。だから、そこの時点では私も含めた左翼界隈の貧乏くさい人たち*7とそんな変わらないですよね。拠り所にするものちがってるだけみたい。労働運動とかがクローズアップされ、左翼運動回顧本が多数出版される中であっても、「俺たちの仕事をやつらが」という煽動のもとにそうした「生きづらい」意識が外国人排斥に転化するのはいかにも起こってきそうな流れでした*8。私にとっては、差別や自慰史観は全て敵です。憎い。けれども、そういう主張の拡大を許してしまっていることが最も残念なことだし、「在特会」なんていう差別者集団が大声をあげるに至る前から、もっと「ソフィスティケイトされた差別」が微量栄養素みたいに当たり前に必要とされて、日本社会のすみずみまで、血流のようなお金の流れに乗ってどこにでも存在していたように思います。



あと、上に挙げた記事へのコメントとか読んだんですけど、「反日上等」は日本人に対して排他的じゃんかよ、みたいな考えはわけわかんないです。「日本人に対して排他的」などという事態が日本国内で起こることなんてことが現実になればどんなにいいかと思いますね、私は。前述の「日の丸を穢すな」にもつながるんですが、「日の丸に愛着を持っている人たち」「天皇一族に特別の敬意を抱いている人たち」への配慮を必要とする左翼運動なんてハナクソだと思いますよ。ながーい歴史、独特で優秀な単一民族、洗練された礼儀作法、清廉なる道徳意識、笑顔の裏で過酷な公務をこなす天皇陛下、、、みたいな「美しき日本の規律」の象徴として、白布に赤丸を染め抜いたシンプルなデザインの日章旗が持ち出されてるわけですが、そこですでにある「日の丸の穢れ」*9に全く考えを向けずスルーしたうえで美しさにだけ酔ってみせて自慰にふけるのがとんでもなく醜悪だ。という話です。せめて「日の丸をこれ以上穢すな」ならまだマシなのかもしれないですね。在特会日章旗を振ること自体はわかりやすくてとてもいいことだと思います(皮肉)。



散漫なエントリになりましたが、とにかく今回の行動に参加できてよかったです。楽しかったというのもあります。終わったあとは川原で飲みました。手作りの横断幕やプラカードで、カンパを出し合って集まった250人(くらい?)です。変わった雰囲気の人もいっぱいいます。それぞれの立場から問題意識を持って集まった人たちでした。終わった後にゆっくり交流できたのはとても良かったです。余談ですが、在特会のデモ隊は横断幕もプラカードも(手作りじゃなくて)ちゃんと活字で作ってありました。お金かかってます。きちんと統制された中で「劣等民族は出て行け」的なことを叫んでいたのかもしれないです。在特会側のデモに参加した人たちに、今日は楽しかったですか? って聞きたい。「外国人出て行け」って叫べて「ああ良かった!」と思えたかどうか聞きたいです。まあ楽しかったんだろうなとは思いますが……。

*1:不正確ですがこんな感じだったかな……。

*2:http://blog-imgs-30.fc2.com/6/1/3/613action/demo08.jpg

*3:時間見てないから正確なタイムスケジュールわかりません。

*4:在特会四条河原町の交差点を北から来て西に抜けて行ったので、阪急前は一番遠い感じだったのです。

*5:反差別運動へのカウンターとしての反反差別暴力は結局、当事者に行くという問題もあります。

*6:私はよく見えなかったのでわかりませんでした。聞いた話です。

*7:いい意味で言ってるんですよ!

*8:実際に、「外国人は仕事を奪うな」的なプラカードもあったそうです。また、これは終了後にid:gnarlyさんから聞いた話ですが彼らは別の場所では「階級闘争を忘れた左翼は帰れ」と主張していたそうです。つまり彼らなりの自己認識においては、自分たちこそ現在進行形で階級闘争を担っているということのようです。

*9:端的には戦争犯罪を指しますが、しかしそれは60年前に完結したものではなく、戦後においても植民地主義は続いてきたと考えています。